ディスレクシア専用英語塾「もじこ塾」のブログです。 ●ディスレクシアとは:知能は普通だが、読み書きが苦手(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い、読むと疲れやすい)という脳の特性 ●全体像の把握、物事の関係性・ストーリーの把握、空間把握、ifを考えるシミュレーション能力に長ける ●読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい ●適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される ●10人に1人程度いるというのが通説 ●家族性とされるが、ディスレクシアの表れ方は個人差が大きい もじこ塾は、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要、という立場です。

2013-08-17

漢字の扌(てへん)を処理する際の脳の活性化について

Scientists study brain activation when processing Chinese hand-radicals

を訳してみました。原文はこちら

漢字の扌(てへん)を処理する際の脳の活性化について
2013/08/09


前頭葉運動前野(frontal pre-motor areas)に損傷のある患者を対象としたいくつかの研究によって、運動理解の欠陥が特定された。
また脳画像研究により、関連した意味論的意味を持つ複数の語の読みにまつわる作業の認識・行動に関連する脳部位が活性化することが明らかになった。
たとえば、「蹴る(kick)」「つまむ(pick)」、「なめる(lick)」といった動作動詞を受身的に読むだけで、感覚運動野のなかでもそれぞれ脚・手・顔に関連する部位を活性化させることが明らかになった。

漢字とその偏(へん)の意味論的処理を調べるため、Quig-Lin Wu率いる国立台湾師範大学のチームは、よく使われる72個の漢字を「扌(てへん)がつく、手の動作を表す漢字」「扌がつかない、手の動作を表す漢字」「扌がつく、手の動作を表さない漢字」「扌がつかない、手の動作を表さない漢字」に分類した。
2130歳の健康な被験者28名にこれらの漢字を読んでもらいながらMRIを実施した。
扌のつかない漢字を読む最中より、扌がつく漢字を読む最中のほうが、右中前頭回が活性化された。


この発見は、身体運動意味論(embodied semantics theory)と合致しており、偏の神経情報表現が漢字の処理には不可欠であることを示唆している可能性がある。
Qing-Lin Wuのチームによるこの研究(Neural Regeneration Research (Vol. 8, No. 20, 2013)に発表)は、中国語の読み処理の根底にあるプロセスを理解する一助となるものであり、ディスレクシア治療法の開発に資するところがある可能性がある。

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