on dyslexia

ディスレクシア
(読字障害、読み書き障害、失読症、難読症、学習障害、読み書きのLD)について、調べて分かったこと/実践したこと/英語から訳した文章をアップしています。

ディスレクシアとは:
- 
知能は普通だが、読み書きが苦手(誤字が多い、読み書きが遅い、読み間違いが多い)
- 独創的で、対人能力が高い。空間把握力、全体像や物事の関係性を把握する能力に長ける。
- 音と文字の脳内での結びつきが弱いことから起こるらしい
- 読み書きの困難は、日本語より英語に出やすい
- 細かい聞き間違いがみられるが、音声情報の処理能力は高い
- エピソード記憶が得意。固有名詞などの細かい丸暗記は苦手
- 適切に対処すれば、読みの問題は表面上は克服される
- 10人に1人程度いるというのが通説

当ブログは、ディスレクシアはこれからの社会に不可欠な才能である、でも日々の学習では普通と違うアプローチが必要--という立場です。


2016-11-23

「英語力=英単語のデコーディング能力」ではない

発達性ディスレクシア研究会の研修会に行ってきました。
久しぶりに、目が覚めるような話を聞けました!

◆マックス・コルトハート教授は、二重経路理論という、この業界では有名な読みのモデルを提唱した方。
今日のお話は、発達性ディスレクシア(=生まれつきのディスレクシア)には7つのタイプ(!)がある、というもの。

ディスレクシアにさまざまなタイプがあることは、今日の雰囲気だと研究者の間では既定路線のようでしたが、一般にはそこまで知られていない気がします。

・「音韻性ディスレクシア」(phonological dyslexia):9割を占める。
音韻処理の苦手と関係している。

・「表層性ディスレクシア」(surface dyslexia:surfaceという言い方は、チョムスキーの「表層構造」に由来するとのこと)というタイプもある。

音韻性ディスレクシアは、漢字よりもひらがな/カタカナ(の非語)の読みが困難。
日本語は大丈夫でも、英語になると問題が出るタイプはこちら。

表層性ディスレクシアは、ひらがな・カタカナに問題がないものの、
漢字に困難を覚えるタイプとのこと。
あとで「この原因は何ですか?」と質問したところ、It's a mystery(謎です)と言っていました(!!)
漢字が覚えられない悩みは当ブログの一大テーマですが、その原因が謎だとは。。

そして、大半のディスレクシアは、複数のタイプが組み合わさっており、1つのタイプだけを持っていることはほとんどない、とのことでした。

個人的に一番驚きだったのは、ハイパーレクシアがディスレクシアの7つのタイプの1つに分類されていたこと∑( ̄0 ̄;。
ハイパーレクシアは、「読字はできても意味につなげられない人たち」と説明されていました。この人たちの治療方法は解明されていないとも。
もじこもディスレクシアらしいです!なんか嬉しい(笑)
(より正確には、これも本日何度か登場していたcompensated dyslexic=ディスレクシアゆえの不足が補完されるに至ったディスレクシアなのでしょうが)


もう一つ、はっとしたのが、
「英語力=単語を読む能力(or単語を想起する能力)」とする点について。
研究者が、ひとつの単語を見せてそれを読む能力に注目するのは、研究目的でやっていることであると、明言されていました。構文力や読解力にはあえて立ち入らないと。

アセスメント(読み能力の調査)においても、1つの単語を示してそれが読めるかを見るのは、有効なことでしょう。

でも、だからといって、ディスレクシアに英語を教えるときにも、同じアプローチを使う必要はないはずです。
研究目的でのディスレクシアへのアプローチと、ディスレクシア英語教育のためのアプローチは、違うのが当然なのです。

すごく多くの教師、さらには親が、英語力=単語想起力であるかのように考えているらしいのは、本当におかしいと私は思ってます。
要は、単語テストでひどい点数をとってきたと言って悲観的になりすぎる親や教師は多いわけですが、これは間違ってます。
英語力をのばすには、ひとつの単語をぱっと見せられて、それを声に出して読む力以外にも、ディスレクシアのタイプ分けの研究においてあえて避けているという構文や読解力などいろんな能力が関わっていて、それらを強化するアプローチは(人により到達点に差はありますが)とても有効です。

そこから、タイトルの「英語力=英単語のデコーディング能力ではない」に至るわけですが、、
もちろん、構文力や読解力を先に身につけたディスレクシアは、いよいよ本丸であるデコーディング(文字を見て音にする)力の強化と向き合うことになるわけですが。
しかしその順番は、文字/音を結びつける能力→文法→読解ではなく、同時、または逆であったっていいのではないか、というのが、わたくしの立場です。



そのほか、驚いたことを箇条書きにしておくと・・・

・「音韻性ディスレクシアには、シンセティック・フォニックス、なかでもジョリー・フォニックスが効くことが明らかになっている」と、名指しで明言されていた。
ええそうですとも~

・「フォニックスを自力で学ぶことはできない。whole word(単語をまるっと暗記)のみ学ばされていると、音韻性ディスレクシアが出る。このタイプには、シンセティック・フォニックスの効果が非常に高く出る。」

・「ブレンディングは、子供にとっては難しいことである。ブレンディングに困難を覚えること(「c/a/tを足して」と指示して「キャット」と言えるか)を、ディスレクシアの指標にするほど」
よく分かります。以前わたくし、これがすらすらとできた子を、ディスレクシアでなくてアーレンと疑ったことがありました。

・「ディスレクシアは、音韻認識の障害に限ったものではない、たしかに音韻認識の困難がもっとも一般的な症状ではあるが。それを認めない人は何かを無視している。」


・全体の要旨としては、
読むという行為にはさまざまな能力(文字を認識する、単語全体を認識する、文字を音に変換する、など)が関わっていて、どの段階でつまづいても読み困難が生まれる。一口にディスレクシアといっても、どこでつまづいているかは異なる。どの段階でつまづいているかを観察することが重要である。
また、英語を/日本語を読むというのはどのようなメカニズムで行われるのか、単純であってもモデルがなければ、読み困難を理解することは不可能だ・・・と強調しておられました。



◆タエコ・ワイデル教授のお話は、先日のLD学会の特別講演とほぼ同じでした。

ご自身が提唱されている、こちらもこの業界の専門家には有名な「粒度と透明性の仮説」(文字⇔音対応が規則的な言語ほど、ディスレクシアの出現率は低い)、
また、日本語・英語・中国語では、脳の活性化している部位が異なることを説明して下さいました。

「音韻性ディスレクシアと表層性ディスレクシアの区別と、粒度と透明性の仮説は、どうつながりますか?」と質問したところ、「粒度/透明性の図は音韻性ディスレクシアについてのもの」とお答えいただきました。

「空書きは、日本語と中国語のネイティブに特有の現象。
イギリスの子供たち(非ディスレクシア)は、単語を何度も書いて覚えることはしない。
なぜなら、フォニックスルールを学んでいるのと、イレギュラーな単語があるということを学んでいるから」という話をされたときは、LD学会のときもそうでしたが、会場全体が「ほほ~」という雰囲気になっていました。
→ここを読んでいる英語教師と親のみなさん、英単語を覚えさせるためと言って、生徒や子供に何度も書かせるのはやめましょう!それよりもフォニックスルールと、それにあてはまらない単語があるんだと教えるほうが、よほど有益なことです。
(なお、今日の話によると、英語の1音節語の17%はフォニックスルールがあてはまらない、とのこと)

また、英語ネイティブの両親のもとに生まれ、日本の進学校に通い、
日本語の読み書きにはまったく問題がない(むしろ読書家)であるものの、英語の読み書きには激しい困難を覚え、学校で「英語を怠けている」と言われたAS君の話もされていました→
彼は今は立派に社会人としてやっているとのことでした。
もじこ塾にも、日本語ネイティブですが、こういう英語だけ激しくできない子は複数来ています。。。


今日お話されたお二人とも、「超一流は惜しみなく与える」を体現する方々でした!


2016-10-30

ディスレクシアだと自覚していない子へのディスレクシア英語指導、のために

いま、土曜の深夜にこれを書いています。
夜中の妄想にならないようにしたいです。。

☆ ☆ ☆

もう10年以上、土曜の夜は予備校で授業をしています。
予備校といっても、教壇から一方的に話すスタイルではなく
演習、添削、1対1での議論がメインです。
生徒との関係も良く(と自分では思っていて)、教務の評価も高く、
1週間のなかでも大事な時間でした。

はじめてディスレクシアの生徒に気付いたのも、この授業でした→
トップレベルの進学校に通っているのに、基本的な漢字を忘れてたり
スペリングミスがやたら多くて点数が残らなかったり。
話せば賢いのに、答案がうまくまとめられない。誤字が多い。
字のバランスが悪い。読んだ後やたら疲れている・・・

こういう子たちをどう伸ばすのかは、
私のディスレクシア・ジャーニーの一大テーマになりました。

難関大用予備校で出会うディスレクシアの受験生に対しては、
「ディスレクシア」「学習障害」といった言葉を一切使わずに
うまいタイミングを見つけて特性を指摘することが、
できれば必要だと思っています。

#今日、前からこの子はディスレクシアだろうと思っていた子が、
ついに「英語が読めない。日本語と同じ程度に分かりたいのだが、分からない」
と相談に来てくれたので、キタ━(゚∀゚)━と嬉しくなって
「イメージ先行型だよね?」
「わかってても言葉でまとめづらそうだよね?」
「すごくいいことを書いているけど、キーワードが抜けてるので、そこを頑張れるといいね。社会でも同じじゃない?」
「読んでるとすごく疲れるでしょう」
「ここまで来るのに、相当努力してきたよね。中1の時とか、大変じゃなかった?」
「文章を読んで全体の流れを把握する力が、他の子よりもかなり高いんだと思うよ。それが答案に出てる」
「がっちりと対比的な内容を書くより、イメージからストーリーを書くほうが得意だよね」
「まわりが難しいと言っていることが簡単にわかり、簡単だと言うことがなかなかできなかったりしない?」
と話したら、かなり当たっていたと見え、彼はがくぜんとしながら
「これは思春期のとがりなのか、それとも? と思ったことはある」
と言ってくれました。(その他いろいろ告白してくれましたが略)

もう11月という時期の受験生にとっては、かなりの衝撃だったことでしょう。
こう書いてみても、私も色々言い過ぎで変な講師ですね(笑)
でも、「私は、そういう特性をもった人に特別な興味をもっていろいろ調べているわけ。にわかに信じがたいだろうけど。キミは地頭はいいし、まわりの人とは違う成長曲線に沿って英語力がついていくのだから、自信をもっていこうよ」
と伝えたので、来週も授業に来るはず(って、やっぱり変な講師ですね。)#

ディスレクシアの診断がつくくらい明らかに周りとは違っている子に
違うアプローチで英語を指導することは、もちろんとても必要です
(それを行おうとしているのがもじこ塾です)が、
自分でディスレクシアだと気付いていない子に
さりげなく違うアプローチで英語を指導することも、
同じくらい必要だと思っています。

☆ ☆ ☆

そして今日。そのための大きな前進がありました。
遅くとも年明けには、正式発表できる予定です。
それに伴い、このブログの運営形態も少し変えないといけないかもしれません。

5年前にディスレクシアだと知らずに出会った最初の生徒に、
もしも「5年前はごめんね。ついにここまで来たよ」と伝えたら、
きっと「それはすごいですね」と言ってくれる気がする、、
って、なんのことだか分かりませんね。すみません。
近日中の発表を、どうかお待ち下さい。



2016-10-21

ディスレクシアの寝落ち問題。

いま、もじこ塾で最もホットな話題(?!)、それは「寝落ち」です。

少なからぬ割合の子が、読んでいる最中、一瞬意識が飛びます。
中学生は少ない(まだそこまでの量を読んでいないので)が、
学年が上がり、読む量が増えると、寝落ち率も増える気がします。
現時点の実感では、ディスレクシアの生徒の3割が、
英語を読んでいて(または字を目で追いながら聞いていて)寝落ちします。

個人的意見ですが、ディスレクシアと寝落ちは関係があり、
脳の使い方の違いによる過労が原因だと、私は思ってます。

ディスレクシアで寝落ちする生徒への対策としては・・・

まず、寝落ちがディスレクシアに関係があるものだと認識することが、
第一段階だと感じます。
寝落ちは、気のゆるみややる気のなさに由来するものではない、
読むというのはそれだけの大変な労力を要することなのだ、
寝落ちは例外的状況ではないと、本人が受け入れることです。

その上で、教師が寝落ちを非難することなく、オープンな話題にすること。
目の前で遠慮なく寝落ちしてもらうこと。
これが第二段階です。
これができれば、生徒は少しずつ心を開いてくれるようになります。
寝落ちする生徒は、寝落ちすることを見せまいと、色々とかたくな※なので
そのバリアを取り払うことが必要だと感じます。


教師の目の前で読もうとしない(すぐ諦める、宿題として持ち帰ろうとする)
こちらが勧めたことをしようとしない、など。
雑談をやたら好むのも、読むのを避ける行動の一つかもしれません。


その上で、寝落ちにどう対処するかを考えるのが第三段階ですが、
・・・これがまだ見つかっていません。
誰か良い方法を知っていたら、教えてほしいです。

前の日にしっかり寝ること、食生活を変えること、
(寝落ちする子は、本当に個人的な意見ですが、独特の甘いにおいがします)
などは多少は役立ちそうですが、決定打にはならないようです。

気圧や満月(?)も、関係あるかもしれません。
どんよりした雨の日、満月の日は、特に寝落ちしやすいようです。
「月に1回、特に寝落ちしやすい日がある」と言った子もいます。
男子なのに!∑( ̄0 ̄

☆ ☆ ☆

読みながら寝落ちしそうになる姿は、傍で見ていて本当につらそうです。
眠るというより、意識を失うというか、気絶するような感じに近いです。
そういう生徒は読もうとする時、体全体から気が張った緊張感が出ています。

そんな、寝落ちする生徒の一人に
「なんだか見ていて、雲梯(うんてい)にずっとぶら下がっているとか、
登り棒にずっとつかまっている、みたいな感じがするよ。
あんまり込み入ったことを話しかけてはまずい、みたいな」
と言ってみたところ、
「わかりますか?」と言われ、
以来、彼は寝落ちの時の気分をいろいろ話してくれるようになりました。
「全身がぐったり疲れる。特に足がだるい」
「もう何も考えられないくらい頭が疲れる」など。。

今日は「気が済むまで寝てみて、その後どうなるのか」実験しました。
3時間半近くかけて、某難関大の1年分の問題のうち80%を解きました。

30分解く→30分寝る→30分解く→20分寝る→30分解く→30分寝る→30分解く
という展開になりました。

起きている時間だけ見れば、普通の子と同じくらいのスピード感で読解しますし
正解できるだけの構文把握力と論理的思考力はある(読み上げは必要)のですが、
寝落ちも含めれば、倍くらいの時間が必要です。

彼にとって読むことは、逆風のなか岩場を登るような、大変な格闘です。
もちろん、難関私大の問題なので難しい文章ではあるのですが、
それにしても、普通の子が絶対にしていないレベルの苦労をしています。

こんなに辛い思いをしてまで、読字する必要があるのだろうか・・・
この疑問は、
「こんなに字の解読に苦労している生徒の存在を、大学側は想定していないだろうに。
その大学で学べるだけの論理的思考力を証明する方法を、大学側は他に用意すべきではないか」という方向にも行きますし、
「こんなふうに真っ正面から困難にぶつかっていく方法は間違っていて、
寝落ちを克服できる方法が実はあるのかも」という方向にも行きます。
でも今はとりあえず、入試対策をするしかありません。

~ ~ ~

ネットで英語の文章を検索すると、「ディスレクシアだと睡眠時間が長く必要」という話はかなり出てくるのですが、「読んでいる最中に寝てしまう」という話はほとんど出てきません。
関連記事を、参考のために訳しておきます。

①原文→
独自なディスレクシア教育を行っているらしいカナダの団体。
この比喩にはとても納得しました。
どんな子供も、睡眠・食事・運動が必要だが、ディスレクシアの子が教室でインプット/アウトプットするために必要な脳の労力の差は大変なものだ。それは歩くことと走ることの差に相当する。ペース配分をきちんとすれば、一日中だって歩くことは可能だが、全速力で一日中走れと言われても、1時間も持たないだろう。ディスレクシアの人は脳の限界に毎日挑戦している。時には成功し、時には力尽きる。」

と言った上で、ディスレクシアに必要なこととして、
・十分な睡眠
・しっかり朝食をとること(日本の常識と内容が違うようですが)、
・水を十分に飲むこと(「水を十分に飲まないと、頭痛や傾眠に陥ることがある」)
・オメガ3油とビタミンDを摂ること
・砂糖を控えること
・運動すること・・・を挙げています。

水はかなり大事なようですね。もじこ塾ではお茶を出しています^^。


②原文→
「ディスレクシアの子の睡眠の質は普通の子の睡眠と違う」
「読字障害の子は、ステージ4の睡眠(深い睡眠)が通常と比べかなり多く、レム睡眠が少なく、レム睡眠に移行するまでの時間が長く、最初のノンレム睡眠のサイクルが長いことが明らかになった。
こうした睡眠構造の違いにつながる可能性のある要素のうち、慢性的な睡眠不足と成熟の遅れ(?maturational delay)特に顕著である。こうした要因は単独でも複合的にも、読字障害の子の情報処理を阻害し、認知の欠陥に加担する可能性がある。」


2016-10-06

ディスレクシアだとIQが実際より低めに出る

ディスレクシアとIQは無関係」という古い記事を読んだ方から、ディスレクシアとIQの関係についてご質問を受けました。
その方にお答えするために読んだものを、訳しておきます。

とても勉強になる記事なのですが、すごく微妙な話題であることも重々承知しています。。ので、こんな注意書きを最初に書くことをお許し下さい:
もじこは知能検査の専門家ではありません。この記事をきっかけとする個別の相談に答えることはもじこの能力を超えており、お受けしかねます。あらかじめご了承下さい。

内容:
・ディスレクシアの場合、WISCのFSIQ(フルスケールIQ)よりも「GIA」(言語理解と知覚推理の平均)の方が、その子の知能を適切に反映している
・ディスレクシアだと、IQが本来の知的能力より低く出る

「隠れディスレクシア」のdyslexic advantageのサイトからの抄訳です。

ギフテッドかつディスレクシアの子を念頭においた記事ですが、
どんなディスレクシアの子にもあてはまる気がします。

なお、ディスレクシアのIQ(FSIQ)については、
「知的障害に区分されるかどうかの瀬戸際にいない限りは、
そこまで細かい数字にとらわれる必要はない」
というのが当ブログの見解です。

------------------------------------------
①原文→
ディスレクシア児においては、FSIQよりもGAI(General Abilities Index:一般能力指標)のほうが、高次の論理的思考力の指標として信頼が置ける可能性がある 

FSIQはVCI(言語理解)、PRI(知覚推理)、WMI(ワーキングメモリ)、PSI(処理速度)の4区分の合計から構成されている。
このため、この4区分をすべて合計するFSIQよりも、言語理解と知覚推理のみの合計であるGAI(一般能力指標)が、高次の論理的思考力すなわち知能の推定値としてはより正確である可能性が高い。
GAIはFSIQに相当するものである。当クリニック(訳注:Dyslexic Advantageのエイデ夫妻が開業しているディスレクシア専門クリニック)の典型的なプロフィールは、VCI(言語理解)とPRI(知覚推理)の合計スコアが平均以上、WMI(ワーキングメモリ)が平均または平均よりやや下、PSI(処理速度)がさらに低い、というものだ。
この結果、GAIを使用しないことは、ギフテッドプログラムから除外され能力を過小評価される生徒が出てくるなどの、不適切な展開につながる可能性がある。
(訳注:日本版WISC-IVについて、同じ内容が、ここまではっきりとではないですが、書かれています→)


IQスコアは完璧ではない  

どんなテストも、すべての能力を評価できるわけではないこと、また疲れ、不安、完璧主義などの理由から、検査結果が不正確になる可能性があることを、認識しておくべきだ。話し始めるのが遅い子供は、IQテストの言語に関する項目で本来より低い成績になるだろう。答えが短すぎて、解答に対しフルスコアがもらえない可能性がある。
幼いディスレクシアの子で、反転が多く起きたり、処理速度が大幅に遅かったりする場合も、反転によるミスや時間のロスゆえに、知覚推理のスコアが能力より低く出る。
それでもなお、IQテストと達成度の両方を見ることが黄金律だと、私たちは考える。
ディスレクシアの科学的研究と教育研究の両方とも、ディスレクシアは能力と達成度が乖離していることを研究のベースとしてきた。
IQテストを行うことには、欠点よりも利点の方が多い。スコアがその子の知識を適切に反映していないように見受けられた場合は、少し待って、一定期間を置いてからの再検査を検討すべきだ。
--------------------------------------------------
原文→
ディスレクシア/ディスグラフィア(書字障害)はIQスコアに影響を及ぼすか

結論から言うと答えは「イエス」だ。
児童向け検査の精度に影響を及ぼす要素はたくさんある。生徒の性格(完璧主義、内向的)、話し言葉の流暢さ、忍耐強さ/立ち直りの力、言葉の正確さなど、さまざまな要素が、検査点数に知的能力がどの程度正しく反映されるかに影響を与える。
だがIQテストは、検査の種類によって長所と短所がある。
(訳注:このあと、WISC-Vなど、日本には入っていない検査の比較の話が続くので省略)。
ギフテッドでディスレクシアの場合、GAIを専門家にチェックしてもらうことも重要だ。なぜなら、全検査(FSIQ)だけでは、高度な概念把握力や論理的思考力を表さないからだ。
GAIがFSIQに等しいと見なせるのは、ディスレクシアに起因する各スコアの大きな乖離がみられる場合である。
WISC-Vでは、GAIを構成する4つのスコアは、言語理解(類似・単語)、非言語理解(積木模様・絵の概念・figure weights)である。
重要なことに、GAIは、記号探し、コーディング(書かれた記号を写す)、コーディング(聴覚ワーキングメモリとシークエンシング)を含まない。
このことは、FSIQを児童の論理的思考力・概念的能力・知識の土台の正確な推定とするためには、重要な要件である。
ディスレクシア/ディスグラフィアとも、コーディング、記号探し、符号のスコアが低く出ることに関係している
当クリニックに来るギフテッドでディスレクシアの生徒の典型的なプロフィールは、言語理解が最も高く、続いて非言語理解が高いというものだ。
ワーキングメモリは、幼い頃は(同年齢と比べて)弱いが、成長とともに平均の範囲に落ち着く傾向がある。
圧倒的に低いのは処理速度で、このことは通常、その子がディスグラフィアも持つことを意味する。
(中略)我々の実践においては、下位検査間の差が20~25ポイント以上あることを、中~重度の「特異的学習障害」つまり読字障害、書字障害、算数障害(どの下位検査に差があるかによって異なる)の指標と考える。
保護者は、ディスレクシアのFSIQが低くなることを認識しておく必要がある。
というのも、もしGAIがギフテッドプログラムのカットオフ条件なら、その生徒は適切な配慮を受けた上でギフテッドプログラムに入るのが、最適な配置である可能性もあるからだ。
☆  ☆  ☆
かつて知的障害者の施設で栄養士として働いていたという方から、
「思えばその施設には、しろうとが見ても『明らかに、あなたはここにいるべきではないでしょう』という、知的に問題のない人が何人かいた。
あれはディスレクシアだったかもしれない」
という話を聞いたことがあります(ノД`)
この記事を訳してここに置いておくのは、 そういう誤診が今後断じてあってはならない、という思いからです。

しつこいですが、
この記事を出すことが、お子さんのWISCやIQの数値への一喜一憂を助長しないことを願っています。

2016-09-21

「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」第2回を行いました。

さる9/13に、
「読み書き困難の子への英語の教え方をシェアする指導者の会」の
第2回を行いました。

Maru先生(お教室のHP→)と、保護者の方、2名が発表を行いました。
ありがとうございました!

保護者の方からは、
「アナリティック・フォニックスが致命的なのは(会場笑)、
ダイグラフがまったく入らないこと」
「フォニックスの前に、英語の絵本や音をたくさん聞いていたのが役立った」
という、大変鋭い指摘がありました。

当日出た教材につきまして、以下のフィードバックを頂きました。
I.Y.さん、ありがとうございます:
・verb allは「ジャスト・フォー・キッズ→」というWeb Shopで購入可能。
・マージャンゲームは、「英語と子ども ブログ」で検索すると、トップにヒットするブログの先生に、メールで連絡すると、購入方法を教えてくれます。

この会は、分かっていないことだらけのディスレクシア英語指導について、
うまくいった方法/いかなかった方法を出し合い、シェアしたい、
という意見が講師数名から出て、
まずはできることからと立ち上がったものです。

今回、Maru先生→が、英語に困難を抱えている子への指導にあたり、
講師に必要と思うこと/保護者に必要なことを、まとめて下さりました。
ぜひとも広まるべき内容だと思いますので、以下、許可を得て転載いたします。
(→以下はもじこのコメントです)

☆  ☆  ☆


講師側に必要と思われること

・生徒を日々良く観察すること。英語力だけではなく、性格、長所、短所、どういった事に気分が左右されるのか、他の学力面がどうかなど、観察し全てを書き出して客観的に見てみること。
「観察」。私はこれをエンパシーと呼んでいます。
実に、ディスレクシア指導の(本当はすべての英語指導の)出発点です。

・その子供の優位性はなにか(聴覚・視覚・エピソードなど)のだいたいの見当をつけること。逆に弱い箇所も探してみること。

・保護者とのコミュニケーションを密にとること。親御さんの抱えている悩みも聞くこと。
私の弱い部分(苦笑)。言い訳させてもらうと、そろそろ~入試までは延々と18歳の人生相談が続くようなわたくしの授業スタイルの場合、親御さんの悩みまで真剣に抱えるといろんなことが立ちゆかなくて。。。

・必要であればその子供を既存のクラスから離すことも視野に入れること。
つまり、ディスレクシアだと分かったら、個別指導を検討すべきとのこと。Maru先生のここの部分のエピソードは圧巻でした。必要だと思った指導はすべてするという熱いコミットメント。

・子供に「全て」や「完璧」を求めないこと。総合的に考えてあまり重要ではないところや、捨てられると判断できるところは捨てること。

・間違いを全て指摘するようなことはしないこと。間違えていても「サラッと」流せるようにすること。
→120%同意。受験指導さらには学校教育で最も欠けているものの、どちらにおいても必要なことです。

・自身の信じるべき教授法は持つべきだが、決してそれに固執しないこと。

・その子供に適した「これだ!」という方法に巡り合うまではあの手、この手でやっていくこと。

・以前成功した方法でも今回は適さないかもしれない、という事を忘れないこと。「万能な方法はない」と肝に命じること。
3点には激しく同意するとともに、Maru先生の誠実さを感じました。「きみにはこれが効くと思う」という信念も必要ですが、効果が薄かったら(その可能性も低くない)すぐに別を試す勇気と研究心も必要です。

・クラス内に「間違えてもよい」「間違える事は恥ずかしくない」「全員が得意・不得意がある」という雰囲気を作り上げること。
この部分のMaru先生の話も圧巻でした。「間違いを批判する空気にだけは毅然とNoと言う」という、断固としたものを感じました。かっこよかったです!

・使えるものはなんでも使うこと。

・品詞はしっかりと教えること。
     →もじこ塾夏期講習でつくづく実感したことのひとつ。学習指導要領がアンチ文法に傾いているからこそ、またディスレクシアの子には文法なら理解しやすいからこそ、品詞や文法の知識はしっかり(でも文法用語を教えることが最終目的にならないようにしながら)、教えることが不可欠です。

・適度にテキトーが役に立つ事がある
→Maru先生はこの項目だけ小さく書いていましたが、これは「子供に完璧を求めない」という上の項目に通じる、とても重要なポイントだと思います。


保護者の方が心に留めておいたらどうかと思うこと:

・親御さんの精神的および物理的サポートは必要であるが、親が子に教える場合は適度な距離感や冷静さを保つことが難しいこともある。その際は「外部で教えてもらう」という選択肢を選んだほうが良いこともある。
→この部分には、Maru先生から、以下を追記してほしいとの依頼を受けました。
大事な内容ですので、メールを転載いたします:
「お教室がどのような形態なのか、先生はマニュアルに沿って教えているのかどうか、先生の自己裁量の自由度がどれくらいあるのか、などを見極める必要があります()困難をお持ちのお子さんがお教室を選ばれる場合は先生の指導力以外にも、どれだけそのお子さんに沿った内容の指導が出来、また授業内容をその子の上達具合に応じて臨機応変に変えられるかがとても大切で、結果お子さんの成長に大きく左右するのではないか()やはり外部のお教室を探すにしても親御さんがリサーチする手間は必要になってきますし、大切だと思います」。
もじこのように、予備校でテキストを使わない講師もいます^^

・子供との関係性にもよるが、フォニックスなど親のサポートが大きな助けとなることがある(家での復習など)

・特に何度繰り返しても覚えられない場合は家で「ちょこちょこ」行うのが有効な時もある(勉強という形ではなく)
→ほんとそうですね。現在うちではyoutubeを見たりアイスを食べたりする前に、不規則動詞変化に答えるという関門があります()

・学校がどこまで協力的か非協力的かを冷静に見極める。その中で出来ることを探してみる。

・英語塾などに行っている場合は講師にざっくばらんに相談をしてみる。家では気付かない箇所を講師が把握している場合もある


・焦らない。完璧を求めない。今、この目の前よりは年後を見据えて、基礎(や土台)作りをおろそかにしない(急がば回れ、的な感じ)
      →「その子の将来の姿を想像すること」。
       これは、当ブログに連絡を下さった方第1号が私に教えてくれた、もじこ塾最大の指針です。

☆  ☆  ☆

次回は1/24(火)に行います。
12月頭にはこちら→で募集を開始する予定ですので、ふるってご参加下さい。

「お互いの指導をシェアするという目的はわかりますが、基本的な共通認識(知識)は確認したほうがよいと思う。Constructive Criticismに慣れていない日本では、シェアリングだけで終わり改良にまで結びつけるのは難しいのでは」
「紹介された教材を使ってみる会を行ってほしい」
などの声をいただきました。
確かに・・・場所は手配しますので、どなたか主催して下さい!


2016-08-31

もじこ塾夏期講習終了。ありがとうございました。

足かけ6週間にわたって続いた、もじこ塾16夏期講習は、無事に終了しました。
ご受講された皆様、お疲れ様でした+ありがとうございました。

ご挨拶のメールをお送りしたいのですが、
実際の指導を優先しているため、失礼が続いておりますこと、
なにとぞご容赦下さい。

春期講習とうってかわって、夏期講習は、私にとって、
ディスレクシア英語指導の難しさを実感する場となりました。
もちろん、かなり学習効果があった例もたくさんあったのですが(特に高校生)…

9/14(水)に、夏期講習を振り返って総括する、保護者向け勉強会を行います。
まだ10名ほど空きがありますので、ご興味のある方はどうぞお越し下さい→
満席になりました。ありがとうございます。(16/09/05)

夏期講習中に残しておいたメモの一部を紹介します。
当日はおそらく、下のトピックのいくつかにも触れると思います。
・・・1時間では全然終わらない!
それに、紹介したいことは、まだまだたくさんあります!


・構文はわかったほうがいい。ディスレクシアならなおのこと。
・ジョリーの絶大な効果と、ジョリーが効かないほど音韻認識が弱いケース。
・抱え込んで、子供を守れば守るほど、親は後々つらくなっていく(はず)
・子供に教科指導をするなら、親としてではなく、教師として教えるべき。
・中1ショックに、親が必死になりすぎるのは良くない。
・受講料の話をして「勉強しろ」とあおるのは、あまり良くないよう
・英語という山を登る方法はひとつではない。ディスレクシアならなおさら。受験英語であっても。
・親の「この子はおかしいと思う。なぜなら自分と同じようにできないから」は、実は親の内なる子供が「自分を認めてほしい」と言っているのでは?
・「4技能をバランス良く」と言うが、語学学習において4技能は常にアンバランスなのが正しい姿のはず。"バランス良い学習"信仰に惑わされてはいけない。
・"語学は積み上げ"も、ディスレクシアには当てはまらない部分がある。
・読むのがつらい(まあまあ書ける)ディスレクシアと、書くのがつらい(まあまあ読める)ディスレクシア。受験的にはどちらが大変か?
・寝落ちしてしまうディスレクシアに、どう対処するか。
・bとd、b/d/pは、ディスレクシアにとっては最後まで鬼門。「こんなことも分からないほどバカ」ではないので、そこは大らかに。
・他の病気とディスレクシアの関連性。不思議な持病を持っている子が意外と多い。
・難聴/耳の詰まり、鼻炎/鼻の詰まり、アトピー、グルテン不耐症が読み書き困難に影響を与えているケース。
・過度激動。特に、知能の高いディスレクシアに、過剰に公正さを求める傾向がみられる。
・SNSで交流しているうちに、英語が分かるようになってしまったケース。
・ディスレクシアなりに単語を覚える方法:ジョリーは必須。語根。フレーズから切り出すなど。
・中1で単語が覚えられないことに絶望しすぎてはいけない。英語=単語ではないのだから。
・自閉症(的気質):自分の知的好奇心の赴くままに問いを発し、相手から答えが得られると嬉しい。
・ディスレクシア(的気質):こっそり勝手に工夫して突破口が開けると嬉しい。ただし字に関してだけはそれが効かない。

2016-08-15

明日から、もじこ塾夏期講習の後半が始まります。

残暑お見舞い申し上げます。
お盆期間中、みなさまいかがお過ごしですか。

この2週間、ディスレクシア浪人生の個別指導を毎日続けておりました。

前半にお越し下さった皆様、学習相談にみえられた方、
コメントを下さった方、メールでご質問を下さった方、
いろいろとご連絡が遅れておりまして、申し訳ありません。
順次お答えしていく予定ですが、ここから先、受験シーズンまでは、
もじこは受験生対応が最優先になりますことを、なにとぞご了承下さいm(_ _)m

明日から、もじこ塾夏期講習の後半が始まります。
みなさまとお目にかかれるのを、楽しみにしております。



ここまでの感想を、何点か書いておきます:

☆ ☆ ☆

ディスレクシアな中1を教える難しさ。
ジョリーフォニックスを教えるだけで、かなり楽になる生徒もいますが
フォニックスもあまり覚えられない、覚えたとしても語や文に生かせない、
フレーズも聴き取れない、、、そんな中1の子も何人か来てくれました。
こうした子にとって英語の勉強はとても大変そうで、難しい指導になりました。

きっと、こうした生徒を「音韻認識が非常に弱い」と言うのですね。
おそらく、英語学習には、膨大な時間と手間がかかるだろうと思います。
私が数学に、他の全教科を足した以上の勉強時間を捧げても、
偏差値40台から脱しなかったように。。

こういう子が、「なんで英語をやらないといけないわけ?」と思っている場合、
4日間で教えられることは、残念ながら、かなり少ないです・・・

ただ、そんな子でも、文法の説明にはわりと理解を示すのが印象的でした。

また、逆に言うと、
「フォニックスを教えれば、そのあとが(自分比で)楽になる生徒」とは、
・フレーズを聞くだけで、ざっくりと口真似ができる、
・読字より書字に困難がある(=書くのは大変だが、読むのはまあまあできる)
だと感じました。


~~~


どんな動機であれ、英語に対してやる気があることは、
英語ができるようになるためには、とてもとても大切です。
やる気問題に関しては、もじこ塾に来る中2以上は全員クリアしているので
「中一で英語が超絶に苦手で、なぜ英語をやらなきゃいけないのか分からない子に、どう接したらいい?」
と、彼ら彼女らの意見を聞きました。すると・・・

・親がまだ「転ばぬ先の杖」になろうとしている。∑( ̄0 ̄;(浪人生)
・「どんなに頑張ってもできないこと」ってある。(ノД`)(浪人生)
・あの頃はすべてに反抗していたので、親の言うことなんか聞かなかった(高1)
・一回、英語から少し離れて、ここにあるお菓子でも食べながら話をしたら(高1)
・自分も中1のときはそう思っていた。(何か伝えるとしたら?)「高校生になったらもっと苦労するから頑張るべき」(高1)
・やりたくないなら、しょうがないですよね(中学生)
・自分も「なんで英語やらなきゃいけないのか」と思います(このあと延々議論して納得)(中学生)
・演技不足。それくらい隠せと言いたい( ̄0 ̄(この子とも、このあと延々議論)(中学生)



中1の親御さんのみなさま。
ディスレクシア英語学習はとても大変なので、
本人にやる気がなさそうなら、まだその時が来ていないのだと思います。
親子の温度差を解消するべきです。

「馬を水辺に連れてくることはできても、水を飲ませることはできない」
といみじくも言ったお母様もいました。本当にその通りだと思います。。

~~~

◆検定教科書に沿って教わると、構文をほぼまったく学ばないらしい。
そのことが、ディスレクシア的には、困難をより一層大きくしている。

ここで言う「構文」とは
「英文を読むために必要な英語のセンテンスの構造に関する知識」という意味です。
英検の大問1やセンター大問2のような、文法4択問題を解く能力とは異なります。
もう少し詳しく言えば
語順によって意味が決まる英文というものの、ルールを体系化したもの」です。
駿台の伊藤和夫が完成させたもので、予備校に行けば必ず教わります
(私も教えてます)

構文がわかると、初めて読む文章でも、
辞書さえあれば、根拠をもって読み解くことができます。
構文がわからないと、
英文読解は「単語の羅列を念力でつなげる」作業になってしまいます。

現在、検定教科書では、文法用語をほぼまったく使っていないようです。
そのこと自体はいいのですが
(文法用語をほとんど使わなくても構文は教えられます)
しかし、中学の最初から「単語の羅列を念力でつなげる」ような指導をされては、
英語が使えるようになるはずがありません。

今回、fromを「出身」という意味だと思い込んでいた高1、
isを「です」という意味だと思い込んでいた中学生がいました∑( ̄0 ̄;
I am from Japan.を、
「私・です・出身・日本」に置き換えて、念力でつなぐ読み方は
このレベルならまだしも、もう少し文が複雑になったら必ず破綻します。

「単語の羅列を念力でつなげる」指導は、
ディスレクシアにとってはとりわけ不利です。
なぜなら、単語が覚えられない人種なのですから(苦笑)。

一方、ディスレクシアにとっては、文法は比較的理解しやすい分野です。
ですから、中1の段階から文法を明快に教えてあげることで、
単語暗記の負担を減らすことができると考えられます。

☆  ☆  ☆

◆設問があれば、戦略を立てられるので、
ディスレクシア的には、読みはだいぶ楽になる。

もじこ塾に来る高校生は、例外なく、
夏休みの宿題と称して薄いドリルを持って来ています。

読解や文法問題集*を丸投げされて、「夏休み中に解いてきなさい、休み明けにテストをするから」というのが、日本の高校生の夏の英語体験らしいです。ちょっと悲しい(- -;)
(*4択や書き換え問題がたくさん並んでいるもの。これができても構文は残念ながらわかるとは限りません)

それはさておき、
漠然と英文を読むのでなく、設問を解くことが目標となれば、
ディスレクシア的には「設問さえ解ければいいのですね?!」と、
明確な戦略を立てることが可能になります。
こうなると、ディスレクシア的にも、突破口が見えてきます。

具体的には、
設問文に含まれるキーワードを本文中に探し、
その前後だけを、正確に構文を取りながらじ~っくり読む、
そうすると設問が解ける
というものなのですが、
ディスレクシアだと、こんな虫食い的な読み方でも、
間に書いてあることもだいたいあたるのが不思議なところです。

☆ ☆ ☆

◆目がつらいディスレクシアと、耳がつらいディスレクシアがいる。

「目がつらいディスレクシア」の最も極端なケースは、
「マス目のついた紙に字を書かれると、マス目のほうが目立って読みにくい」
と言った生徒でした。
この生徒は、ペンやチョークの色によっても、見え方に差があると言いました。

一方、今回、トマティスリスニングセンターで紹介された
骨導ヘッドセットを試してもらっているのですが、
何人かの子には、かなりの効果があるように感じています。

これを付けて読むと、自分の声がよく聞こえます。
そして、自分の声を聞いて修正していくのは、
語学学習において正しい発音に至るための近道なのだそうです。

実際、これを付けて読むと、読み間違いが減る子がけっこういます。

最も劇的に効果があるのは、普段から聞こえが悪いことを自覚している子
(片耳が難聴の子や、常に耳が詰まっている感じがすると言う子は、
ひっくり返るような衝撃を受けていました。
「初めて自分の声がクリアに聞こえた!」と)
ですが、そうでもない子でも、読み間違いが減るケースが何人かあります。

一方、イヤホンの感触が嫌だという子、
自分の声がよく聞こえることが嫌だという子、もいました。

この効果については、もう少し試して、またここで報告します。



では、もじこ塾夏期講習の後半が始まります!